手軽に自分史を作る方法
新聞、雑誌などを見ていると、「自分史を書きませんか」という広告が目に付きます。
ごく普通の人たち、有名人でもない、会社の社長でもない人が、「自分史を書書きたい」という要望が多くあります。
それで、新聞社や出版社が、
「文章の書き方を指導しますから、共同出版として出しませんか?」
というような案内をするわけです。
何十万か百何十万を出すと、自分の本がきれいに製本をされて、書店に並ぶような形で仕上がってくる。
「自分は本を書いたこともないし、そんな長い文章を書き慣れてないし、できるかな?」
と言うと
「ちゃんとプロの編集者がついて色々指導しますよ。形になるまで指導します」
というセールスをされるわけです。
確かに、「自分史」というのは、非常に魅力的です。
自分の今までの歴史、思い出、これを凝縮させたものです。
例えば、同じ体験をした仲間同士であれば、懐かしく読むことができる本に仕上がる可能性があります。
なにかの記念品として、非常に良いものだとは思います。
ただし、ほとんどの人は、長い文章を書き慣れていないんです。
自分史としての体裁を整えるためには、少なくとも原稿用紙で何百枚いう分量の原稿を書く必要があります。
原稿用紙100枚程度では、単に履歴書を少し膨らませたような内容になってしまうんですね。
それでは、はっきり言って、「誰が読んでも面白くない自分史」になってしまう。
「文章を書く才能が必要」という意味ではないんです。
まず、コツが分かっていないから書けない。
読み応えのある自分史、楽しく読める自分史のためには、「豊富なエピソードの数」が必要です。
自分にとっては何気ないエピソードでも、傍から見ると、その地方特有の遊びだったりして、非常に興味深かったりします。
ですから、なるだけリアルなエピソードを、たくさん出す必要があるわけです。
文章を書き慣れていない人というのは、このエピソードを沢山出さなければいけない段階で、「文章としての体裁」も一緒に考えようとしてしまいます。
「どういう文体で書こうか」というようなことを考えながら、このエピソードを書こうとすると、圧倒的にこの「エピソードの数」が出せないんです。
面白いネタが出てこない。
そんなペースで自分史を完成させようとしても、これは半年や1年で完成するとは思えません。
そもそもが、文章を書き慣れていない人が、「コツコツと毎日少しずつ原稿書く」ということはできないはずです。
これはプロの作家だから毎日書けるわけで、「毎日原稿用紙3枚ずつ、それを1年間続ける」こんなことはなかなか素人にはできないと思います。
私は、映像制作の技術を使って、もっと手軽に、読んでいて楽しい自分史を作る方法を確立しようとしています。
テスト的に一つ作ったところです。
まずは
・文章としてどうまとめるか
・このエピソードを使うかどうか
という判断を全て置いといて、まずエピソードを出す。
幼少期、学生時代、社会人になってから、というような分け方をしたとして、例えば幼少期。
思いつく限り、そのエピソードについて書くのではなくて話すんですね。
ビデオカメラの前でそれについて話す。
私は以前、地元のラジオ局に呼ばれて少しお話をしたことがあります。
「決められた時間内にしっかりと話せるだろうか」というような不安もあったんですが、非常に話しやすかった記憶があります。
それはなぜかと言うと、パーソナリティの人が、いいタイミングで必要な質問を投げかけてくれるからです。
それに応えるだけで、自動的にこの会話が成り立って、エピソードが繋がっていくわけです。
それを体験した時に、話すのに必要なのは「質問」だと言うことに気づきました。
ですから、まずは自分が思い出せるエピソードの数をたくさんあげておきます。
そして、ビデオカメラの前で、そのエピソードについて自分が質問されたと想定して、知らない人にそのエピソードを説明する。
それを、ビデオで収録するわけです。
なぜ録音でなく、ビデオを使うかというのには理由があります。
最終的な完成形は、書籍の自分史を作りたいとします。
ところが、書籍を作るためには、まず文章が完成して、所定の形式に整えたあとに印刷をして、製本をして、やっと完成するわけです。
時間がかかるんです。
例えば、あなたが、「今、自分史を書いているんだ」ということを友達に言ったとします。
「出来上がったら読んでよ」と。
ところが半年経っても1年経っても、まだ書いてる、という状態だと思うんです。
なかなか形にならない。
書きかけの原稿を読ませるという気にもなれないでしょう。
そうすると、自分も相手もモチベーションが持たないんですね。
やる気が途切れれば、仕事じゃありませんから、原稿執筆は頓挫します。
ビデオで録画すると、これは、自分の原稿の元になる「取材メモ」でもあるんですが、その映像自体も使えるんです。
その映像を使って、「映像版の自分史」を先に作ってしまう。
たとえば、話すエピソードをリストアップしておいて、日曜日の午後にその擬似的なインタビューの撮影をしたとします。
夕方に撮影は終わるでしょう。
すると、早ければ次の週には、「映像版の自分史」が完成する可能性があるんです。
ビデオの編集というのは、慣れた人にとっては非常に楽ですから。
そうすると、最終的に完成させたい書籍版の自分史と、ほぼ同じ内容のエピソードを口で説明している「ビデオ版」が非常に短期間で完成するんです。
そうすると、もともと自分史を書いて読ませることで楽しませようと思っていた友人だとか、知り合いの人たちに、ビデオ版を見せることができる。
芸人じゃありませんから、そんなに話は達者じゃないでしょう。
でも、あなたの言葉で、あなたが身振り手振りを使いながら一生懸命そのエピソードを話してる、その姿自体が楽しいんです。
あなたを知っている仲間にとっては、その「映像版の自分史」は見ていて楽しい。
ビデオはYouTubeを使って、遠くに住んでいる知り合いにも簡単に見せることができます。
映像が完成した後で、今度はその映像を見ながら、「どういう文章にするか」ということだけに集中して、書籍版の自分史の原稿を作ると、格段に楽に筆が進むはずです。
場合によっては、映像版を作っても気が済む可能性もあります。
書籍版を作るのではなく、「映像版の第2弾を作ろう」ということにもなるかもしれません。
こういうやり方をすると、出版社に頼んで、履歴書を膨らませたような自分史を作った時に比べて、はるかに面白い自分史が、数分の一の費用で完成させられる可能性が高いと思います。
映像版の自分史に興味がお有りの方はご連絡ください。